【開館時間】午前10時~午後4時
【入館料】 大人・子ども共 200円
潮聲閣は耕三寺建立発願の原点ともいうべき建造物で、書院造を主とした日本住宅と西洋風住宅である洋館とを複合させた大邸宅となっており、これは耕三和上がまだ大阪で大口径特殊鋼管の会社を営み成功を収めていた当時、ここ故郷瀬戸田に住んでいたご母堂の老後を慰めるため、自身の事業を陰日向なく見守り続けてくれた報恩のために建築したものです。
日本住宅部分は東西棟の入母屋造を本体とし、随所に耕三独自の発想による書院造の新機軸とも言える格長高い意匠をみることができまた、来客を迎える大広間よりも老人室をはるかに豪華に造っていることや、仏間が通例よりはるかに大きく独立しているかのように住宅の本体部より突出させて設けていることは、耕三の母堂への強い思いが顕著に表れたものとして特筆されるところでしょう。
洋館部分はほぼ正方形平面の二階建てで、車寄せや内装の茶色の腰板と白漆喰仕上げ、華麗なステンドグラスなど大正から昭和戦前の洋館建築の典型例であることがうかがえます。こうした建物は、明治から昭和初期にかけて流行した形態ではありますが、広島県内においては数例が現存するのみで、規模、豪華さ精緻さにおいては潮聲閣が卓越しており、完全な創作建築として評価を得ています。周囲をかこむ日本庭園と相俟ってかもし出される四季折々の様々な情景、空気感にふれてもらえることもここを楽しんでもらえるひとつかと思います。
お客様の玄関で、式台は総欅で造られています。式台天井は、折上の格天井を張り、中央を鏡天井として飛天を描いています。
西正面にガラス戸の玄関を設け、月光門から大玄関を通らず直接入ることが出来ます。内装は、茶色の腰板と白漆喰で仕上げており、調度品は、中国清朝時代の家具を配置しています。
耕三師のご母堂の居間で、潮聲閣の最高格式の座間です。床柱と建具は黒柿、床の間の落としがきは鉄刀木、欄間は薩摩杉一枚板に梅とセキセイの彫刻が施されています。床脇には、ご母堂の木像が安置されています。天井は、折上格天天井で一二四面の花鳥画が帝展作家山下薫画伯によって描かれています。また襖絵などは同じく帝展作家川上拙以画伯の筆によるものです。
八畳の間で奥に三畳大の内陣を構えています。
天井は、格天井で各面に観音像を描いています。書院造を基調とした御佛間となっています。
南面に床の間を設け、西面に一間半もの付書院を張り出し華頭窓を取り付けた独創的な造りになっています。天井は霧島杉の一枚板を畳の間取りと同じように張っています。
家族のための玄関です。
ガラス入りの杉戸に花鳥画を描いたり、便所内は小さな床の間を置くなど特異な意匠となっています。
お母堂の書斎として使われていた四畳半の居間です。
大理石と御影石で作られた四畳半の浴室です。浴槽の内側は桐の木を組み込んでいます。浴室と廊下の間の壁には円窓のステンドグラスをはめ込んでいます。
浴室前の六畳の脱衣所になります。
潮聲閣の台所であったところです。土間の天井の梁は湾曲した丸太を使うことが多いのですが、ここでは曲りの少ない丸太を用いて洗練された美しさを出しています。
床の間、棚、付書院を備えた正規の書院造の十畳間です。六畳の次の間を控えています。床柱は紫檀、床框は黒檀、床板は欅の研ぎ出しの一枚板です。天井の板は屋久島の屋久杉です。庭石は奈良の生駒石を使用しています。